建築施工管理技士のSです。
今回ご紹介するのは、ロープアクセスによる無足場工法(以下「ロープアクセス工法」)による特殊高所作業についてのハナシです。

高所で作業を行う場合、通常は高さ2メートル以上の場所では作業床の設置が義務づけられています。

しかし、都心部などの隣地との間が狭い場所や、傾斜や勾配が特殊な建物・場所など、外部の改修工事を行いたいが足場が設置できない、高所作業車などが使用できないケースがあると思います。

このような条件下でも、ロープアクセス工法を採用することで、高所での作業が可能です。

今回は大阪府内にある事務所ビルの壁面防水改修工事をロープアクセス工法にて、実施した例をもとにご紹介致します。工事内容はALC外壁の欠損補修工事とシーリング工事になります。

ロープの接続は、屋上のパラペットに専用のスタンションを取付、丸環や強固な支持物に接続致します。

ロープガード
置き型養生

突起物やパラペットの形状でロープが切断するおそれのある箇所では、置き型養生やロープガードを用いて切断を防止するための措置を行います。

また、ロープは身体保護器具を取り付けた「メインロープ」と、安全帯を取り付けるための「ライフライン」の2種類のロープを使用することで安全を確保します。

ロープアクセス工法は特殊高所作業になるため、指定の特別教育を受講した技術者にて作業を行う必要があります。

危険が伴う作業のため、作業箇所の事前調査、支持物の調査点検、使用するロープ類、安全帯、保護具、落下防止治具等の作業開始前点検、作業計画に基づく作業指揮者の配置等が、ロープアクセス工法を用いる際の重要なポイントとなります。

【ロープアクセス工法で可能な作業】
■外壁打診調査 ■外壁洗浄作業 ■外壁補修作業 ■シーリング作業 ■塗装作業 
■設備等の取付・点検 

塗装作業等の飛散する恐れがある作業でも、専用の飛散防止ネットを使用することで作業が可能です。

【ロープアクセス工法の特徴 メリット】

■特殊な場所・建物の条件にも対応できる
 隣地との間が狭い場所、特殊な形状の建物・場所での作業が可能。(最低50cm程のスペースは必要)

■高所でのピンポイント補修作業・緊急を要する作業に向いている
 部分的な高所作業で仮設足場を組むには予算的には厳しいが、高所作業車では施工ができない場合などにコストを抑えることが可能です。

■垂直作業にむいている
 ロープを垂直に設置するため、垂直に作業を進める場合は作業効率が良いです。

■高層な建物でも施工ができる
 吸着パッドという装置を用いることで、身体が外壁から離れないように固定ができるため、風の影響を受けやすい高層な建物でも作業が可能です。

【ロープアクセス工法の特徴 デメリット】

■支持物や吊元が必要
 ロープを接続する支持物や吊元がないと作業ができません。

■力を有する作業がしづらい
 ロープアクセス工法の場合は、足を踏ん張る箇所がないため、足場上に比べ力を有する作業などは、作業性が劣る場合があります。

■入念な安全対策が必要
 足場は、作業者の足場になるだけでなく、物や作業者が落ちた際に完全に落下することを防ぐ役割も担っています。しかし、ロープアクセス工法の場合は受け止めるものがないため、安全・安心面では懸念があります。そのため、入念な安全対策が必要です。

■業者が限られている
 ロープアクセス工法は特殊高所作業であり、専門業者での施工となります。工法自体もまだ新しい工法のため、施工業者も限られています。(弊社では協力会社にて施工可能です!)

■検査が写真、動画などに限られる
 足場の場合は、お客様でも足場上にて検査を行えますが、ロープアクセス工法の場合は、写真や動画にてご確認いただく方法になりかねます。

以上、今回はロープアクセス工法についてのご紹介でした。

棚田建材ではマンション・ビルなど建物の条件に応じた最適な改修提案を致します。
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