建築施工管理技士のFです。
以前のブログで石綿調査について紹介させていただいておりますが、
今回は実際に石綿が検出された現場での施工について紹介させていただきます。
そもそも石綿はアスベストとも称される天然の鉱物繊維の総称で、耐摩擦性・耐熱性にすぐれている為、規制前は多種多様の建材製品に使用されてきました。
ただ、石綿の繊維は非常に細かく(髪の毛の5000分の1の太さ)、人の肺に入ることで、肺がんや悪性中皮腫を引き起こすとして建築物を利用する不特定多数の人への健康リスクが非常に高いことから、幾度の法改正を経て現在ではその製造・使用が禁止されています。
ですが、築年数が経っている建物には新築当時に使用された石綿が検出される事が多くあります。(石綿製品が完全禁止されたのが2012年ですので、まだ最近のように思えますね)。
今回は、石綿事前調査の結果、アスベスト含有(レベル3)が判明した長尺シートの貼替え現場でのアスベスト処理を紹介します。
まず、万が一アスベストが飛散しても壁に付着しないように養生します。
施工前に居住者様との打ち合わせを行い、施工の日時・フロア(箇所)・通行経路を確定して、今回は施工場所への立入を完全禁止とさせていただきました。
既存の長尺シートを撤去する前に「湿潤化」を行います。湿潤化とは湿潤剤とよばれる溶液を混ぜた水を噴霧して、空気中へ石綿が飛び散ることを防ぎます。同時に空気中のごく小さな粒子を捕集できるエアフィルター(HEPAフィルター)付きの集塵機で吸引しながら作業します。
撤去ガラはアスベスト廃棄専用の回収袋に梱包し、廃石綿の許可を有する専門業者に廃棄を依頼して回収してもらいます。作業員は作業中防護服着用。居住者様は石綿と絶対に接触しないようゴミの保管場所も完全隔離させていただきした。
今回工事は、アスベストそのものを除去することが目的ではないので、新規で下地を作ってアスベストの封じ込めを行います。ここまでで石綿に関する作業は完了です。
今回のように、石綿は意外なところに含有しております。今回検出されたように、日常生活で使用するような場所から検出されるものは大体アスベストレベル3であることが多いです。(1~3まであり、1が一番健康リスク高い)
アスベストレベル3といわれるものは、石綿の中でも発じん性が比較的低いとされ、日常で使用する分には飛散する心配はほとんどありませんが、知らずに解体等の作業を行うと飛散させてしまい近隣へも健康被害が及ぶリスクもあるので要注意です。
石綿含有が判明した時点で工事の費用や工期が大幅に大きくなることから事前に調査を行ってから工事の計画をされることを強くおすすめします。
弊社では、石綿作業主任者や石綿含有建材調査者の有資格者が多数在籍しております。
お住まいの物件でご不安に思われることも専門的知識からアドバイスさせていただきますのでお気軽にお問い合わせください。