マンションなどの大規模改修工事に臨むうえで、私が常に心がけているのは「私たちは工事をさせていただいている立場」だということです。工事期間中、住人の方々には騒音やにおい、動線の制限など、少なからずご負担がかかります。工事業者に対して、良い印象ばかり持たれているわけではないという前提を理解したうえで、極力住人の方々の名前を覚え、「人と人」として丁寧に接するようにしています。

例えば、ご高齢の方には「重い荷物あったら運びます」「電球交換とかあったら言ってくださいね」と、何か日常のお困りごとはないかな?という視点で、お声がけさせていただいたりもします。

また、小さいお子さんへの影響を懸念されているお父さん、お母さんには、工事で発生する音や、塗料のにおいについてあらかじめ直接お伝えし、必要であれば「外側から隙間を塞いだりすることもできます」と前もって提案させていただいています。いずれも特別なことではありませんが、工事期間中、できるだけストレスなく過ごしていただけるように、「言われてから対応する」のではなく、「先回りして動く」ことを意識しています。

そういった姿勢の原点にあるのは、昔、先輩からもらった「君は人を観察した方がいい」というアドバイスです。人は一人ひとり違うので、「その人が何を望んでいるのか」「何を喜びと感じるのか」を見極めて、思いやりを持って行動するように心がけています。

そういうプロセスを経て、最後に住人の方から「ありがとう」という言葉をいただけたときは、大きな達成感を感じられます。人と関わるのが好きな私にとって、数ヶ月〜1年に及ぶ工事期間中に住人の方々と少しずつ関係を育んでいけることが、この仕事の醍醐味なんです。

棚田建材M