現在、改修工事に携わっているマンションは築55年で、改修は4回目。国交省のガイドラインでは、マンションの大規模改修は12〜15年ごとに行うことが目安とされているのに対し、当案件ではそのガイドラインより少し早い時期での改修工事となりました。

築年数が長いのも一つの理由ですが、住人の方々に愛着があり、建物を長く維持していこうという意欲が強いぶん、私たちに対する期待値も高いので、いつも以上に背筋が伸びる思いで仕事をさせていただいています。現に工事がどういうものかを知っている方が多く、安全対策や作業工程など、技術的なところもご意見をいただきます。その期待に応えるためにも、現場監督の検査と社内検査を入念に実施しています。

現在も進行中ですが、本件で得た気づきとしては、私たちの視点での万全が、必ずしも住人の方々にとって万全ではないということ。工事をしていない環境が当たり前の方にとって、些細なことでもご不便を感じられることを理解し、それぞれのご意見をもとに、改めて事前周知や、安全性、快適性への配慮を徹底する必要性を自覚しています。

もちろん私たちも「住人さまファースト」の精神で工事を進めるとはいえ、予定している工期内に工事を終わらせる責任もあるので、すべてのご要望やご意見にお応えできない場合もあります。その中でも、安全性と快適性、スピードが調和する落とし所を探るようにしています。

たとえ住人の方々のご要望を叶えられない場合でも、まずは内容をお聞きしたうえで代案を提案させていただくなり、メリット、デメリットを説明させていただくなり、まずはお気持ちに寄り添ったうえでご納得いただける道を探ることを大切にしています。その土台をつくるためにも現場に足しげく通い、明るく挨拶することで、まずは意見や不満を言っていただきやすい関係性を築くように心がけています。

棚田建材S